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食品衛生法の改正でHACCPの導入が制度化されたことで、食品に関連する企業はHACCP導入の準備を進めていく必要があります。ここで疑問になるのが「ただ導入しさえすれば良いのか?」という事です。導入の効果を高め、継続的にその効果を高めるという点で、第三者機関からHACCPの認証を取得することは大きなメリットがあります。この記事では認証取得とは何か?取得の方法などもご紹介します。
食品衛生法の改正により、“HACCP(ハサップ/ハセップ)”が注目を浴びています。導入が制度化(※)されたことにより、これから導入を目指す関連企業の中には、どこから手を付けるべきか迷っている場合もあるかもしれません。せっかく導入するからには、より高い効果が得られるよう目指したいものです。今回の記事では、HACCPの概要や導入方法、そして認証取得やそのメリットなどについて解説します。
(※)一般的には「義務化」と呼ばれることもありますが、日本の場合は正しくは「制度化」です。
HACCPとは?
HACCPとは、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同機関であるCodex(国際食品規格)委員会から発表されている、国際的な食品衛生管理規格のことです。
手法としては、HACCPプランという食品の製造工程における衛生管理計画を作成し、それに沿った管理を行うことで食の安全を確保します。
製造工程の段階から食品衛生の管理をすることにより、効果的にトラブルを防ぐことができる、何らかのトラブルが発生した場合の対処がしやすいといった利点があります。
そのような点からHACCPは国際的に推奨され、2018年の食品衛生法の改正によって日本でも導入の制度化が決定しました。
HACCP認証とは?
世間では義務化と呼ばれることも多いHACCPですが、正しくはあくまで「制度化」です。制度化や罰則規定があるのかどうかについては、こちらの記事をご覧ください。
HACCPについては「認証」という言葉を目にすることも多いと思います。HACCPの認証とは一体どのようなことでしょうか?
HACCPの認証とは、自治体や業界団体の行う適合証明とは異なり、第三者機関による審査を受けて、「仕組みとしてCodex HACCPの基準に則りHACCPに基づいた衛生管理をしている」と、客観的に認めてもらうことを表します。
HACCP認証と導入の違いとは?
HACCPを「導入すること」とは、HACCPの考え方にのっとった取り組みを行うこと、そのものを指しています。
その取り組みが「客観的に見て」妥当なものかどうか、また、第三者機関の「認証」を受けているかどうかとは別の問題です。
単純にHACCPを導入することとHACCPの認証を取得することを混同した情報もゼロではないので、間違えのないように、その辺りの違いを正確に知っておきましょう。
HACCP導入のメリットと認証取得のメリット
認証取得は義務でないのであれば、あえて認証を受けなくてよいのではと考える人がいるかもしれませんが、HACCPの導入には、次のようなメリットがあります。
導入のメリット
- 従業員の衛生管理への意識向上
- リスクマネジメントを考慮した生産を指向している
- 国の求める制度化へ対応している
以上のようなことに、法律に則り取り組んでいることを自己宣言ができます。
上記はHACCPの手法を正しく導入しただけでも得られますが、次の4点は認証を受けなければ得られないメリットです。
認証を受けた場合のメリット
- 客観的な第三者機関の認証を受けることで、取引先や消費者から一層高い信頼を得ることができる
- 第三者の目が入ることによって自社だけでは気づかなかった課題が明確になり、一層の改善が進む
- 第三者機関によるHACCP認証が条件となっている企業との取引が可能になる
- 第三者機関によるHACCP認証が条件となっている国への輸出が可能になる
HACCPを通じて、原材料から食品を製造するメーカー、運搬業者、製品を扱うスーパーマーケットや飲食店といったフードチェーン全体でのコミュニケーションが取りやすくなり、それが結果的に消費者の安心へとつながることは、大きな利点といえるでしょう。
HACCPの認証を受けるには、当然ある程度の時間と費用を要します。しかし、上記の魅力的なメリットを考えると、価値のあるものといえるでしょう。
なお、日本検査キューエイ(以下、JICQA)では、HACCPの7原則12手順にのっとり、HACCPの制度化にも適応したCodex HACCPの認証を提供しています。審査では、企業様の現行の運用が7原則12手順に適合しているかという点だけでなく、HACCPが「仕組み」として有効に機能しているかという観点で確認します。ハザード(危害要因)分析を重視し、適切なCCP(重要管理点)を設定することで、無駄が少なく、各社の状況に応じた仕組み、運用の実現を支援します。
また、審査チームは3~6年固定となるため、各社の仕組みをよく理解した審査員によって、継続的な改善に貢献します。JICQAのHACCP認証は、食品製造以外の食品容器製造、物流など、食品に関わる事業であればすべての分野で認証可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
HACCP認証取得の流れ
HACCP認証の取得の流れについて、一例をご紹介します。
- 構築
HACCPチームの編成やフローダイアグラム(原材料の受け入れから出荷までの製造工程一覧図)の作成、ハザード分析、CCP(重要管理点)の決定など、7原則12手順にのっとったHACCPプランを構築します。
また、認証審査のための準備として、審査機関への相談や申込みも、並行して進めておきます。 - 仮運用
構築したHACCPプランを運用します。認証審査を受けるためには、通常3ヶ月以上の運用期間が必要です。 - 第1段階審査
初めて認証を受けるときの初回の審査は、2段階で行われます。
第1段階審査では、HACCPプランの整備状況の確認と、次の第2段階審査で不適合が懸念される部分の特定を行います。 - 第2段階審査
通常第1段階審査の1ヶ月半〜2ヶ月後に行われます。この審査では、定めた方針や目的、手順、運用状況などを確認します。
また、実際の作業状況を視察し、文書化した手順を正しく理解したうえで実施しているかをチェックします。 - 改善措置
第2段階審査の結果、改善が必要と判断された場合は、措置を講じます。
その改善措置が適切であると認められれば、初回審査(第1段階審査・第2段階審査)の最終的な報告書が作成され、登録決定会議にかけられます。 - 登録証の発行(認証取得)
登録決定会議にて審査に通れば、無事認証取得となり、登録証が発行されます。 - 【年1回】サーベイランス審査
HACCP認証取得後は、最低でも毎年1回のサーベイランス審査(継続審査)を受けることになります。
HACCPプランが適合しているか、維持されているかを確認する審査です。 - 【3年毎】更新審査
HACCP認証取得後、3年に1回実施されます。
HACCPプランが適合できているか、また、有効性が保たれているかを、サーベイランス審査よりも細かく確認されます。
HACCP認証取得にかかる時間と費用
HACCP認証の取得の流れが理解できたところで、取得にかかる時間と費用を確認しておきましょう。
時間
取得にかかる時間は事業規模や審査機関によって異なりますが、HACCPプランの構築に半年程度、審査を受けるまでの仮の運用に3ヶ月以上、初回の審査に2ヶ月ほど、改善措置に1ヶ月ほどかかると考えると、システムの構築から認証取得まで、1年はかかると考えておく必要があります。
費用
HACCP認証の取得には主に「審査費用」と「研修の参加費用」がかかりますが、金額は事業規模や審査機関により異なります。
まとめ
HACCP認証を取得するには、ある程度の時間と費用がかかりますが、今回ご紹介したように、それに見合う以上のメリットがあります。いずれにせよ、HACCPの制度化により、導入の準備を迅速に進めていく必要があります。
認証機関によっては無料セミナーなどを開催しているところもありますので、まずはそういったものを利用して、HACCPの知識を深めることから始めてみてはいかがでしょうか。