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ISO審査登録・JIS製品認証・GHG排出量検証

日本検査キューエイ株式会社

JICQA NEWS巻頭言バックナンバー

JICQA NEWS 30号 巻頭言

よろしくお願いいたします

代表取締役社長
樋口 宗之

私は、昭和48年に大学院化学工学科を修了、新日鐵大分製鐵所に入社、現場配属されました。最初に管理職になったのは、30歳の時で部下64名のガス精製 掛長でした。コークス炉(石炭を蒸し焼きしてコークスを製造する工程)から発生するガスを環境上無害化(精製)し、製鐵所の各工程に燃料として配給すると いう24時間操業の現場の長でした。ここで初めて今で言うトータルマネジメントを経験しました。環境、防災上安定操業が使命でありますが、安全対策・副産 物の品質管理・コスト切り下げ・設備管理・労務管理などあらゆることを総合的に考え、処理していました。この頃、はやりの日科技連のQC研修を受講し現場 では、自主管理活動を開始しました。PDCAサイクルの考え方は、当時の私としては新鮮でしたが実務としては、PDCAは知らず知らずに回っていました。 初期のころは、自主管理活動と言っても何から手をつけて良いのかわからない状態でした。全員参加の自主管理活動が軌道に乗るまでは、自分で考えた業務テー マを20個ほど、配下のグループに配って強制的にやらせたことが思い出されます。国内的には、自主管理活動もPDCAも私より早く取り組んでいましたか ら、じつに長い歴史をもっていると言えます。日本にISOが導入された時にそれを受け入れる土壌は、出来ていたと言えます。当時は、勉強は、自分でするの が基本と教えられ、危険物管理者、高圧ガス主任者、公害防止管理者、熱管理者など各種資格を精力的に取得しました。もう30年も前のことです。若くて元気 でした。

その後、技術企画や、高炉の技術開発などを経験し、JICQAが設立された1992年頃は、直営300人、協力会社200人を擁す製銑 工場長をしていました。皆さんもよくご存知だと思いますが、製鐵所のシンボルとも言われる高炉の操業をする工場です。責任は当然重くなり、そのマネジメン トの巧拙が製鐵所の収益を左右していました。当時、鉄鋼業は重厚長大の重罪人のように言われ、私が入社した時には高炉は、おおよそ30基ありましたが、改 修のたびに大型化すると同時に製鐵所そのものを集約して10基体制になっていました。大分製鐵所の2基の高炉は、世界最大であるとともに社内の最重要高炉 でありました。製鐵所は、新規事業への参入や、組織のスリム化、大胆な合理化などをしゃにむにやっていました。

こういう状況の中で、国内での ISO取得ブームが起きました。金融構造改革をはじめとする日本のあらゆるマネジメントの国際標準化の一つであったのですが、現場の長であった私は、恥ず かしながらよく理解できませんでした。「何のために」、「メリットは何か」、「文書と判子ばっかりで、やる意味がない」などです。審査員とも口角泡を飛ば して議論しました。当時はまだ若かったのです。今から思えば無知であったと思いますが、当時の疑問は、現在の私どもも完全に払拭できる状態にはなっていな いと思います。先日、ある電気工事会社のホームページの社長業務方針に「形骸化したISOの廃止」が謳われているのを発見しました。JICQAではなく他 の認証機関が認証していたのですが、もう止めたいという意向でした。気になっていたところ後日、ある機会に当人に会うことができました。真のISOの取り 組み方をお話したのですが、信念?は固く、JICQAへの登録替えにまで至りませんでした。まだまだ私の力不足であると反省しています。当時と比べて「文 書と判子ばっかり」の審査は改善されたと断言できますが、「直接的コスト切り下げ」にどう繋がるのかという差し迫った中小企業主の要請には、十分答えられ ませんでした。品質、環境などの規格の他に即効性のある「コスト切り下げ」の規格はないものかと思っています。というか、総合マネジメント規格の出現を待 望します。JICQAは、2種類以上の規格を統合して審査する統合審査を推奨していますが、まだまだ第1ステップだと思います。

直協合わせて 800人の製銑部長、全社の高炉改修を担当するエンジニアリング部長を経由して平成14年に新日鐵の監査役に就任しました。当時企業統治のあり方が大議論 になっていた時期でした。新監査役監査基準、委員会等設置会社、新会社法と立て続けに改正や新制度の導入が行われました。背景には、企業経営の国際化と企 業の社会的責任をどのように果たさせるかという要求がありました。現在、監査役による監査役監査、会計士による会計監査及び、取締役と従業員で実施する内 部監査の合計3つのいわゆる三様監査を実施しているのが一般的です。ところで、監査役を英語で表すとAuditor となります。昔の商法時代は、監査と は、取締役を監査することと会計士監査が主でしたが、最近は、経営監査として、企業価値を損なわないように内部統制機構が有効に働いているかを監査するよ うになってきました。監査項目は多岐にわたり投資計画、収益、安全、環境、セキュリティはもとより与信管理や、セクハラに至るまで、あらゆるリスクの洗い 出しとその対策を求めるようになっています。取締役以下の社員による内部監査活動を審査しますし、製鐵所に出向いての現地監査も行います。ISOの審査員 も Auditor と言いますし、会社法による企業統治とISO活動は、似たところがありますが、相当違います。対比しながら ISOの弱みと強みを考え、 今後のISO活動に生かしたいと思います。まず、弱みから話したいと思います。

(1)ISOは任意規格であるため法的拘束力がない。従っ て受審組織との信頼のもとに成り立っており、捜査、摘発する権利も罰則もない。嘘をつかれたらどうしょうもありません。信頼関係が損なわれた段階で、 ISOから退場願うしかないと思います。不正をしょうと思ってもできない職場環境の構築が、ISOの究極の姿と思います。弱みと捉えず性善説にたった活動 を続けるしかないと思います。

(2)ISOには総合規格がまだできていない。あらゆる仕事は、単独要素だけで動いていません。例えば品質 だけを考えて日常の活動をしていることはまずありません。企業活動は、最も大きな関心事であるコスト切り下げや与信管理、設備管理、安全・労務管理等多岐 に亘る複数の要素が同時並行的に複雑に関係し合っています。従ってISOだけをやっていたら経営は万全と言えない弱みがあります。歴史的に仕方ありませ ん。規格の充実や審査方法の改善を図っていくしかないと思います。

次にISOの強みを挙げてみたいと思います。

(1)ISOは世界標準規格審査である。あるレベル以上であることを第三者が公平、公正に審査し認証することにより、社会的にそのステータスを認め合えます。

(2)ISO は第三者審査である。会社法監査における会計士監査は、第三者監査ですが監査範囲が会計だけであり、監査役監査も内部監査も自社監査です。従って、社会に 対する公平性、公正性を証明しづらいのに対し、ISO監査は、第三者であるがゆえ社内監査で気づきにくいことを指摘できるケースが多くあります。大会社は 内部監査を充実させるとともに、ISO審査のような第三者的切り口での厳しい監査を要求し始めています。このことは、大きな会社ほど独自の文化を作り上 げ、いつのまにか独りよがりのマネジメントをしている心配があります。そのチェックのために第三者審査であるISOを使おうとされているのだと思います。

(3)ISOは、改善するシステムであり、攻めの姿勢を持っている。監査役監査が、コンプライアンス重視の監査であるために守りの監査になりがちであるのに対し、ISOは、PDCAでスパイラルアップするシステムの構築をめざしています。

私は、ISOの将来の競争相手は、受審組織自身の監査であるのではないかと思っています。弊社では、内部監査員の養成講座を開設していますが、ISO審査 が深みを増すにつれ受審組織の実力が向上し、ISOは、もう要らないと言われかねません。しかしながら、私の経験からは、ISOの第三者監査(審査)の要 請は、今後も強まると思います。なぜならば、色々な業種や、会社の豊富な経験を有する審査員の審査は、何ものにも替えがたいものだと思います。審査員に要 求される力量は、ますます高まることも必然ですが、JICQAの審査員は、十分応えることができると思います。

それでは、JICQAの社長としての抱負を述べます。
私 は、技術者として35年間まじめにもの造りに励んできました。その集大成として自分のマネジメント経験を活かせ、社会のお役に立てるISO活動に従事でき ることを有り難いことだと思っています。さらに、優秀な審査員とスタッフに囲まれ正々堂々、ISOの王道を歩んできたJICQAの社長である幸運を感謝し ます。
今後ともJICQA社員一同、受審組織にお役に立つ審査活動に全力で取り組みたいと思います。宜しくお願いいたします。

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