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ISO審査登録・JIS製品認証・GHG排出量検証

日本検査キューエイ株式会社

JICQA NEWS巻頭言バックナンバー

JICQA NEWS 43号 巻頭言

「Risk-based thinking」への期待

代表取締役社長
髙﨑 誠

食品への異物の混入、情報漏洩、研究データの改竄等の企業不祥事に関する新聞記事があとを絶ちません。残念なことに、これらの不祥事を発生させた組織の中にはISO9001の登録組織が含まれていることも事実です。

ISO9001:2008年版の1.1項にはISOに期待される成果として、

a)顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たしている製品を一貫して提供できる能力を持つことを実証する。
b)品質マネジメントシステムの継続的改善のプロセスを含むシステムの効果的な適用、並びに顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項への適合の保証を通して、顧客満足の向上を目指す。

と記述されています。

本来、品質マネジメントシステムが構築され、本当に有効に機能しているISO9001登録組織においては、冒頭のような不祥事が発生するリスクは非常に低いはずです。

審査機関は、実際に不祥事を発生させた登録組織に対して、臨時審査を実施して、不祥事発生の原因究明とマネジメントシステムの不備を是正することになりま す。原因は必ず存在し、ISO9001の1つ又は複数の要求事項を満足していない状態であることが判明します。このようにして組織に蓄積された経験と知識 は、業種・業界毎に、また、時系列的に整理され、「Risk」として認識され、予防保全活動に展開されています。

現在検討されていますISO9001:2015年版においては、従来の予防保全の考え方を昇華させ、「Risk-based thinking」という考え方を導入しています。即ち、「Risk」を正しく、深く把握することからスタートしています。

そのフレームワークは、

4.1 組織及びその状況の理解
組織の目的及びその戦略的な方向性に関連し、その組織の品質マネジメントシステムの「意図した結果」を達成する組織の能力に影響する「外部及び内部の課題」を決定する。

6.1 リスク及び機会への取り組み
4.1に規定する課題を考慮し、a)〜c)を達成するためにリスク及び機会を決定しなければならない。
a)品質マネジメントシステムが意図した結果を達成できることを保証する。
b)望ましくない影響を防止又は低減する。
c)継続的改善を達成する。

としています。即ち、前述した登録組織の不祥事が顕在化する前に、品質マネジメントシステムの中で、その根本原因を除去することを狙いとしています。

安倍政権はアベノミクスの第3の矢として成長戦略を揚げて進めています。その中に、前述した企業不祥事対策の一つとして「コーポレイトガバナンス(企業統 治指針)」の強化を求めています。具体的には、上場企業は「取締役会に、資質を十分備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべき」と明記すると伝 えられています。社外の有識者を取締役会に参加させて新しい目、外部の目でコンプライアンスを高めていくことは、第3者の目で「コーポレイトガバナンス (企業統治指針)」の診断を受けるという意味でそれなりの効果が期待できると思います。

しかしそれ以上に、組織を最もよく知る者が「Risk-based thinking」に基づき品質マネジメントシステムを確立し運用していくことが、より効果的でスマートな手法と言えるのではないでしょうか。

今から数年後、ISO9001:2015年版の価値が正しく広く理解され、社会に認知された暁に、成長戦略の一環として、「ISO9001:2015年版を取得すべし」という政府案が提出されることを期待しています。

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