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日本検査キューエイ株式会社

JICQA NEWS巻頭言バックナンバー

JICQA NEWS 40号 巻頭言

「書くこと」について

代表取締役社長
髙﨑 誠

審査員の仕事の多くは「話すこと」、「聞くこと」、「読むこと」、「書くこと」で構成されていると言っても過言ではありません。その中でも、「報告書を書 くこと」、「指摘事項を書くこと」は審査員が審査したこと・判断したことを正しく伝えて記録に残すという意味で、審査パフォーマンスの向上のためには大変 重要なプロセスと言えます。

ところで、釈迦は自ら書物を著したことはありません。古くから、大切な思想は文字によらず、口訣相承(くけつそうしょう)と言われ、直接話すことによっ て伝えるという作法があったようです。その結果、経典に出てくる釈迦の言葉は「釈迦は・・・・・と説かれた」と表現されています。これらは「釈迦 が・・・・というのを私は聞いた」ということであり、聞いた人の主観で何とでも解釈できるのであり、後世において仏教がその教えの解釈によって数多くの分 派が発生することになったと言われています。釈迦が文字で直接に思想を伝えていたら、歴史は大きく変わったものとなっていたように思います。

紀元前5世紀に釈迦は6年間の修行の末に悟りを開き、その後5人の弟子達に口頭で悟りを伝授しようとしました。しかし、弟子達は釈迦の悟りを理解でき ず、釈迦は悟りの伝授を一旦は諦めましたが、何度か繰り返すうちに5人の弟子達も理解するようになったとあります。いずれも書いたもので教えられたとは伝 えられていません。

現在、私たち審査員の「書くこと」は「(仏教の)悟り」を説明するのではなく、受審組織の皆様に規格への適合性、規格が有効に活用されているかについ て、審査員が判断したことを正しく理解していただくために指摘事項及び報告書として書いています。この時に、正しく伝えることの難しさに直面することが多 いのです。この原因の一つとして、最近は「書くことによって物を考える」、「考えていることを文字で表現する」という習慣が少なくなってきていることにあ るのではないかと思います。

「指摘事項を書くこと」に関しては、現地審査で収集した事実から規格要求事項に基づいて不適合な状態を指摘するとともに、マネジメントシステムの更なる レベルアップに寄与できる切り口での改善・是正をお願いしています。時として、真意が正しく伝わらず七転八倒することを経験する審査員は実に多いのです。 短時間で緊張を持続しつつ全神経を集中して行う仕事ですので、多くの経験を必要とします。このため社内では、短時間で正しく適切な指摘事項をアウトプット するために、事例研究等の場を設けて徹底的な訓練を続けております。ご理解の程、よろしくお願いします。

ゲーテは「手が記憶する」と言いました。また、作家の井上ひさしは「手が記憶する」に加えて、「記憶した手で新しいことを作っていく」とも言っていま す。おそらく、井上ひさしは「手で考える、手で作っていく」と言いたかったのではないかと思うのです。この意味では指摘事項を書いて報告書を作成すること は、極めて創造的な仕事と言えるのではないでしょうか。

受審組織の皆様は、もっとわかりやすい、より要点をついた指摘事項、報告書をお望みのことと思います。このためにJICQAの審査員は、指摘事項の文章 化において真意を正しく伝えてご理解を得られるよう日夜奮闘しております。今後とも、ご理解の程、よろしくお願いいたします。

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