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JICQA NEWS 39号 巻頭言
製品の値段とサービスの価値
代表取締役社長
髙﨑 誠
「製品の値段」と「サービスの価値」はどのようにして決まるのかという疑問が頭から離れない。
繊維の生産は製造コストの安い中国に移転され、日本と中国で化学繊維の生産量を比較すると、2008年の生産量は対1999年比で日本は約半減させたのに対して中国は3.5倍となり、今日では中国の化学繊維生産量は日本の28倍となっている。
これらを背景にユニクロは製造を中国に委ね、当初は”価格で勝負”をコンセプトにしてマーケットを席巻してきた。しかし、現在ではユニクロは日本の品質管 理技術と最先端のファッション情報を取り込んで、世界の一流ブランドと比肩するに至り、パリ、ニューヨーク、銀座に出店するまでになっている。
一般に、製造コストは原材料価格、加工費、製品歩留まり等によって決まることはよく知られている。一方、サービスの価値はユニクロの例を引用すると、品 質、機能性、付加価値(例:従来の丈夫で長持ちに加えて保温性(ヒートテック)、吸放湿性等の新しい機能)、ファッション性、品揃え、接客態度等である。 すなわち、製造コストは製造者が決めるが、サービスの価値はお客様が決めるという点が大きく異なるところであろう。
もう一つ具体的な事例としてスポーツジムを引用してみたい。
スポーツジムは最新の運動器具を常にメンテナンスをして、最高の状態保ち、かつ、快適な空間を準備する。
優秀なトレーナーが、しっかりと組まれたメニューに基づいてトレーニングを提供する。しかし、体を動かして体力の向上、健康の増進に努めるのはお客様自身 の努力による。この場合、前半の物理的なコストは算出可能であるが、トレーナーが提供した「サービスの価値」は体力向上、健康増進等によるお客様の満足度 によって決められる。従って、スポーツジムは常にお客様の満足度をモニタリングして、最高の満足度を維持すべく、種々の施策を練っている。
ところで、ISO審査というサービスの価値はどのように決定することが、適切でかつ合理的と言えるのか。
認証機関の役割は、機関に対する要求事項(=ISO 17021)を満足した認証システムを構築し、十分な審査力量と分野の専門性を準備し、又、適切な資質を備えた審査員を擁して、受審組織の経営に役立つ審 査を行うことであろう。審査を通してマネジメントシステムの改善・レベルアップを図っていただき、理想とする経営に近づけて頂くためのものと考えている。
昨今、登録組織様のところに、「安くて簡単」をキャッチフレーズに安値認証機関からの売り込みが激しくなっていると聞いている。安値機関と言っても千差 万別で一概に論じることはできないが、簡単な審査で経営に役立つ審査が提供できているとは思えない。「サービスの価値」を見いだせないとなれば、お客様か らクレームが出てくることになる。
JICQAは常に、最高級の審査:サービスを提供し続けるために、管理・間接コストを削減して、審査員の力量を向上し、専門性を高度化し、最新の審査技 術の習得等の施策を講じてきている。審査サービスの価値に対する登録組織様の声に耳を傾けることを最優先とし、これからもお客様の経営の質の向上にお役に 立てる審査を提供していくことをお約束いたします。
今後とも、益々のご理解とご協力をよろしくお願い致します。