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日本検査キューエイ株式会社

JICQA NEWS巻頭言バックナンバー

JICQA NEWS 34号 巻頭言

ISO14001は周りのこと

代表取締役社長
樋口 宗之

今年の夏は、連日35℃を越える気温が続き大変でした。これからもこのような夏が続くとすれば、なんとかしなければいけないという気持ちがつのります。地 球温暖化問題は、切迫した課題なのですが、何から始めなければならないのか?何をしなければならないのか?全世界、全地球の問題なので、まとまった合意が えられず、手遅れになるのではないかという心配をしています。地球環境問題は、国にまかせているだけでは、十分ではなく、地域社会や、一人一人の問題であ ると捉えなければなりません。

ISO14001は、地球環境を対象にしなければならなくなりましたが、当初は、そうではありませんでした。環境 側面、やサイトという言葉がよく出てくるように、地域環境非悪化・改善のマネージメントシステムが主眼であったと思います。そして、省資源(リサイクル、 リユース、リデュース)も謳われていましたが、「環境管理は、公害防止」という考え方が主流であったと思います。

JICQAは、 ISO14001審査を1996年に国内で最初に財団法人日本適合性認定協会(JAB)から認定を受けております。また2001年にはオランダ国認定協会 (RvA)からも認定を受けております。ISO14001には、組織活動、製品及びサービスの環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を実施する 仕組みが継続的に改善されるシステム、つまり環境マネージメントシステム(Environmental Management System , EMS)を構築するための要求事項が規定されています。環境MSの審査がはじまった頃の1997年に地球温暖化防止京都会議が開催されましたので、地球規 模の環境問題として温室効果ガスの削減ニーズは高まっていたと思います。

それでは、そもそも「環境」とは一般的に何なのでしょうか?ISO14001では取り組むべき環境とはどこまでをいうのでしょうか?最近の私は、このような時に重宝しているというか不精というかパソコンを利用します。
まず、Wikipedia では、「環境は、広義においては人、生物を取り巻く家庭・社会・自然などの外的なことの総体であり、狭義においては、その中で 人や生物に何らかの影響を与えるものだけをさす場合もある。特に限定しない場合、人間を中心とする生物に関する環境のことである場合が多い。・・・」と続きます。

うーん 環境の対象を言っているようです。そこで、オンライン無料辞書で調べますと、
(1)まわりを取り巻く周囲の状況や世界。人間ある いは生物を取り囲み、相互に関係し合って直接・間接に影響を与える外界。
(2)コンピューターのハードウェアーの性能と、搭載されたソフトウェアーの性 能、ならびにそれらが複合的に集まって作り出している状態を(1)にたとえたもの。オペレーティングシステムの種類、CPUの動作周波数、搭載したメモ リーの容量、ネットワークの状態など、さまざまな要素によって変化する。
とあります。
なるほどと思う反面、かえってわからなくなったと思いまし た。特に(2)にいたっては、新たに出てくるカタカナを検索しなければなりません。そこで、結局自宅にある国語辞典をみてみました。ちょっと古い辞典です が、こうあります。環境とは、
(1)「まわりの状況」
(2)人間や、動植物の周囲にあって影響を与えるすべてのもの
なるほど「まわりの状況」なんだ。文字数が多いほど、詳細に説明できるのでしょうが、文字制限がある国語辞典の方が、本質をついています。国語辞典は偉いな、と変な感心をした次第です。

戦前から戦後まもなくでは、環境問題の環境といえば作業環境つまり人の周りの環境を言っていたと思います。鉱毒や塵肺、難聴、熱中症などその歴史は古く、 労働者の環境対策として取り組まれてはきました。過酷な労働環境にさらされた労働者は、病気になることが多かったのですが、永年、職業病とし、看過されて きていました。現在では、工場などの仕事場での作業環境は、非常に改善され、労働安全衛生問題として対策が打たれています。今では、環境問題とは普通は言 いませんが、私は、作業環境はEMSであろうとQMSであろうと、健全な職場をマネージメントする源泉であると思っています。最近は、精神的ストレスや、 過労といったより深い作業環境に起因する問題が多くなっているのも特徴と思います。

人間の活動範囲が広がるにつれ、1956年の水俣病、1960年の四日市ぜん息問題が発生した頃から環境問題と言えば、公害を指すようになり、地域環境問題となりました。環境が「人の周り」から「地域という周り」に広がりました。

私 が社会人として、製鉄所に勤め始めたのは1973年で、秋には、中東戦争が契機で第1次オイルショックが起こった年です。前年には、ローマクラブから「成 長の限界」という報告書が発表されており、このまま、人口増や環境破壊が続けば資源の枯渇や環境の悪化により、100年以内に人類の成長は、限界に達する と警鐘を鳴らしていました。20年以内に石油が枯渇するという警鐘は、かなりセンセーショナルでありました。

第1次オイルショックでは、トイ レットペーパーや洗剤など原油価格と直接関係のない物質の買占め騒動、デパートのエスカレーターの運転停止、NHKテレビの放送時間の短縮、日曜日のガソ リンスタンド休業などが起こりました。製鉄所には、エネルギー部という部が創設され、実は、私もエネルギー部に移りました。そして、スタッフは、こぞって 熱管理士試験、公害防止管理者試験を受けました。

このあと1979年にイラン革命を契機に第2次オイルショックがおこり、原油価格が再び急上昇 するのですが、さすがに2回目であり、大騒動にはなりませんでした。この2回のオイルショックが地球環境問題を実感させた最初の事件であったと思います。 石油価格の上昇と石油産出国の偏在が明らかになったために日本では、省エネルギー対策と脱石油が行われるようになりました。しかし、この時は、地球温暖化 なんて言う話は、少しもありませんでした。環境問題というより、エネルギー資源問題でありました。

この当時の環境というのは、「公害対策」に代 表される地域環境でした。私の入社の前年に総理府の外局として環境庁が設立されています。(環境省に昇格されたのは、2001年です。)1967年公害対 策基本法が制定され7つの公害(大気汚染、水質汚染、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭)を規制することになった。この法律は、1993年の環境基本 法の制定に伴い、廃止され役目を終えるですが、その20年前の1973年、私は、製鉄所のコークス工場ガス精製掛に入社し、COG脱硫、活性汚泥による排 水処理などの新しい公害対策設備の開発、建設、操業に大忙しでした。当時すでに製鐵所所内には環境管理室がありました。私は、公害という言葉が大嫌いでし た。すでに公害問題を全国的に起こしてきたあの「公害」対策をやっているという後ろ向きなニュアンスが非常に嫌でした。私自身は、世の中に無い新しい改良 技術に取り組んでいるという気概でしたし、公の害なんていうものがあるのか? 全て、私の害ではないかと思っていました。あれから40年近く経ちました。 私は、前述しました7つの公害項目のほとんど全ての技術にタッチしました。弊社の審査員は、製造現場で働いた技術者が多く、私と同様に何らかの形で様々な 環境問題に実際に携ってきたと思います。それらの経験を、審査を通して、次世代に貴重な経験として伝えていると思っています。日本が環境保全技術と省エネ 技術に優れた実績を有しているので、ここにビジネスチャンスがあるとともに国際貢献ができると思います。

「地域という周り」が地域から地球規模になっているのが地球環境問題です。地球環境問題は、様々なものがあります。大気汚染や水質汚染の地球規模への拡 大。フロンガスによるオゾン層の破壊。森林伐採などによる生物多様性の減退、生態系の破壊、砂漠化、そして、二酸化炭素などの温室効果ガスによる地球温暖 化などです。とりわけ1997年のCOP3(気候変動枠組条件第3回締結国会議)で採択された京都議定書により、具体的な温室効果ガスの削減目標が提示さ れ、国際的な取り組みの第1歩とされているのは、良くご存知だと思います。

ISO14001は、地域環境だけでなく、地球環境にまで広げた環境負荷の低減を求めています。サイトの環境側面を洗い出し、地域外への環境負荷流出を防止するのは勿論、これからは地球規模で環境改善を行わなければならなくなりました。

そ のときに重要なのは、サイトの概念を変える必要があるということではないでしょうか。自分の周りだけ気を遣っていた時代から、地域という周りをおもんばか り自分のサイトからの環境負荷の低減を目指してきました。これからは、サイトが国にまで広がっていっているといことです。国ごとに目標を定めていくことに なるでしょう。これは、国というサイトがある以上仕方のない方法であり、実効を伴う方法であるとは思います。しかし、現実は排出削減義務のせこい値切り交 渉やCDMというまるで新しい商売のようなことを議論しています。そうこうしている間に地球は、破壊する(住めなくなる)のではないかと思います。サイト という概念を国から地球、宇宙という具合にもっと広げないといけないと思います。すなわち、宇宙から眺めると今の地球人は何をやっているのだろうかという ことです。このままいけば何年後か先に地球に人が住めなくなるのに領土の奪い合いなんかしている暇はないということです。持続可能な地球を考えればローマ クラブに戻り、そもそも何人の人が地球に住めるのかということを議論してみる必要があると思います。1950年に25億人が2000年には60億人となり ました。人さまの周りを汚さず、質素に暮らしてきた昔に戻らなければ人類は、100年もたないのではないでしょうか?それと、地球人として今重要なこと は、あらゆる国々が共有できる倫理を確立することだと思います。 最近の地球環境には、省エネ、リサイクル、リユースという「もったいない」という概念が 必要とされています。これは重要な一つの倫理基準です。そして世界中のあらゆるサイトにおいてはISO14001を行動基準にすべきだと思います。 ISO14001は、グローバルな基準であり、国や文化の違いを超えた世界共通の基準であります。

環境という周りを考えていたら、話がISO14001の普及になってしまいました。
ISO14001の取得と活用をお願いする次第です。

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